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2012/03/28 (Wed)
~シュレスビッヒ観光のすすめ~
 
前回みたように、伝統的に、アングロ・サクソン人のうち、特にアングル人の原住地は、ドイツ北部のアンゲルン半島であり、その中でもシュレスビッヒやハイタブーの辺りが中心都市であったとされてきた。シュレスビッヒという地名は、聞いたことぐらいはある人も多くいると思うが、ガイドブックなどに大きく取り上げられることもないため、それ以上詳しいことはあまりよく知られていないと思われる。ハイタブーにいたっては、ほとんどの人にとっては初めて耳にする地名であろう。今回はこれらの土地について、特にアングロ・サクソン人やヴァイキングとの関連で紹介したい。

アンゲルンには、かつてアングル人達が住んでいたが、5世紀中頃以降、彼らはこの地を離れ、ブリテン島に移り住んだ。その後、8世紀頃までに、この地はヴァイキングの住む土地となった。というわけで、この辺りの土地からは、アングル人やヴァイキングの残していったものが多く見つかっている。
 
これらのうち、アングル人が住んでいた時代のものと思われるものの多くは、シュレスビッヒの Gottorf Castle 内の博物館に収められている。中でも特に印象深いものに(ややグロテスクではあるが)、泥の中で保存された状態で発見された当時の人々の遺体(Moorleiche)がある(写真はその一例)。

Moorleiche.jpg
 
1世紀末のローマの歴史家タキトゥスの『ゲルマーニア』(12章)には、「臆病もの、卑怯もの、あるいは恥ずべき罪(破廉恥罪)を犯したものは、頭から簀をかぶせて泥沼に埋め込む」(泉井久之助訳)とあるが、場合によっては、シュレスビッヒ周辺で多く発見されているこれらの遺体も、刑罰として泥沼に沈められた人々のものなのかもしれない。あるいは生贄として捧げられたのかもしれない。いずれにしろ、かなり保存状態がよく、「生き生き」しているとすら言えるような気がするものもある。
 
もう一つ同じ博物館で非常に印象深い展示品として、ヴァイキング時代以前のゲルマン人の作った船が挙げられる。オスロにあるヴァイキング船博物館に展示されている船(Oseberg ShipやGokstad Ship)は非常に有名であり見ごたえもあるが、シュレスビッヒの船もなかなかのものである。

56ab0e86.jpeg
 
この船は、発見された土地にちなみNydam Boatと呼ばれ、上記のヴァイキング船より500年ほど前の時代(310~20年頃)のもので、現存するゲルマン人の作った船としては最古の時代のものである。船の全長はヴァイキング船と大体同じぐらいの約23mであるが、幅は約3.5mで、幅5m強のヴァイキング船に比べてやや狭くなっている。この船が作られてからさらに百数十年の後、恐らくこれと似たような船でアングル人達はブリテン島を目指したのであろう。
 
シュレスビッヒの中心からタクシーで15分程度のところにハイタブーという土地がある。前回紹介したように、この地名は古ノルド語に由来し、したがって、ヴァイキングが住んでいた時代に遡るものである。ここにはヴァイキング博物館があり、ヴァイキングの住居や船の復元、ルーン碑文をはじめヴァイキングと関連する多くのものが展示されている(写真は、ヴァイキング時代の集落を復元したもの。ここには、当時のライフスタイルで住んでいる人がいる)。

d38d5159.jpeg
 



この他にも、ハイタブー周辺には、かなり立派なルーン碑文も複数残っている。あちこちばらばらにあるので、車がないとなかなか全て見て回ることは出来ないが、いずれも見ごたえのあるものなので、タクシーを拾って一つ一つ見に行く価値はある(写真はそのうちの一つ、10世紀のErik-Stein)。
Erik-Stein.jpg
 
このように、シュレスビッヒやハイタブーには、ゲルマン人の文化や歴史と関連したものが相当充実した形で残されているので、ドイツ北部を旅行する機会があれば、シュレスビッヒに1泊(出来れば2泊)して、これらを見学しつつ、古代~中世のゲルマン人に思いを馳せてみるのもいいだろう。
 
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